奉賛会講演集 第四輯

 

「いま 歴史の転換点で」浜田益嗣

 

 

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講演にあたって 

三重県護国神社宮司同奉賛会副会長 宇治土公貞幹 

 奉賛会の総会に先立ちまして、浜田益嗣先生をお迎え致しましての講演会をお知らせをいたしました処、ご多忙の処お繰り合わせいただき、県下各地からお集りを頂きまして誠にありがとうございます。先程司会の方から説明がありましたように、野中林兵衛会長、本日おいでを頂く様になっており、というよりは本当はもう少し違った日を予定していたのですが、野中会長のご都合で今日にさせて頂いたのですが、急に昨日、神社にお見えになりまして、十九号・二十号台風の後の処理の問題でどうしても今日地元の方に朝の列車で帰らなければならないので本当に申し訳ないのだけれども、皆様方に宜しくとの事でございました。お伝えを申し上げます。従いまして、会長に代わり、簡単に挨拶を申し上げたいと思います。

 今日は大変良い天気に恵まれたわけでありますが、お天気も良過ぎ、かつ日にちも良過ぎまして、津まつりの第一日目という事もございます。せっかく浜田先生お繰り合せ頂いておいでになりましたのに、例年に比べましてもお集まりが多くないと言うよりは、はっきり言って少ないのは、本当に申し訳ない事です。けれども、それだけにお集まりの方々は極めて熱心な方々でございまして、平素からもご英霊の奉賛につきまして格別のお骨折りを頂いております事を、厚くお礼申し上げる次第でございます。

 後程、司会の方から浜田先生につきまして紹介申しますし、皆様方もご承知の通り天下の赤福の社長さんであり、三重県きっての名士であるわけでございます。ただ浜田社長さん自身がご英霊のご遺族であるという事を、ご存じでない方が割合ございます。御先代は日支事変の最初の頃に中国で戦没されました。私は小学生の頃で、同じ学区でございますのでよく存じあげておりまして、本当に穏やかで立派な方でありました事を今も忘れることができません。社長さん自身は、極めて幼い時でございましたのでおそらく写真以外には全然ご存じないのではないかと思います。そんな中からお祖母さんあるいはお母様と一緒に天下の赤福さんに昔からの伝統はありますけれども、現代の中で発展なさっておられますご活躍の様子を、ご尊父さぞかしお喜びの事と拝察致しているわけでございます。

 今日は現代の世界の情勢又、日本の国民の将来についてお話を承ることができる事を意義深く存じております。

 余談のようですけれども、昨日午後から、インドの宗教者の方七人が、宗教会議を終えられまして、猿田彦神社の方へ寄ってくれまして、神宮参拝の前に二時間半程私の方でいろいろな話をいたしました。その中で、宗教というものが、世界の恒久平和の為に尽くすべき使命というのが非常に大きくなっている。日本の神道については充分にはしらないけれども、お邪魔するのは三回目で、いろいろと拝見をしたり、体得をしたり、それにつけて日本人の皆さんが伝統に基づいて、世界の平和に貢献してもらいたいと、多少世辞も入れましてお話を頂きました。いずれにしましても国際的であるという事は、国の枠を超える事でありますが、国の枠を超えるという事は、逆に民族の伝統を完全に身に付けて国の枠を超えないと何も無くなってします。従ってそういう伝統的な精神といいますか、心掛けというか、生活の仕方というか、そんなものを改めて掘り起こした上で世界的な活動をしてゆかなければならないのではないか、そんな事を話し合った訳であります。

 今日は浜田社長さんの若いしかも財界におきましても、あるいは伊勢の式年遷宮を前にし、いろいろご活躍等をふまえた上で、お話を実地に伺えることは、非常に有難い事でございます。よろしくお願いを申し上げ、挨拶といたします。ありがとうございました。(拍手)

 

「いま 歴史の転換点で」

㈱赤福

取締役社長 浜田益嗣

 

講師略歴

生年月日  昭和12年5月6日

本 籍 地   伊勢市宇治中之切町26番地

最終学歴  慶応義塾大学経済学部 卒業

職  歴  昭和35年 ㈱赤福入社

       〃   同 専務取締役

       同43年 同 取締役社長

       〃   ㈱マスヤ取締役社長

       同58年 ㈱伊勢萬取締役社長

      平成元年 ㈱マスヤ取締役会長

 

主な公職(講演当時)

皇學館大學常任理事

伊勢商工会議所副会頭

伊勢市観光協会副会長

㈶伊勢文化会議所常任理事

㈶伊勢神宮崇敬会理事

全国銘菓協会監事

㈶三重県水産復興事業団理事 他

 

〈目次〉

はじめに/単純化の中に潜むもの/二十世紀を席捲した政治思想/地球をとりまく環境破壊/信仰の時代へ/史上最悪の社会改革が今崩壊する/共産主義の構造/もう一度自由主義をかえりみる/政治の哲学と力学/第三の体制は/「世のために……」は色あせて/政治の花と根っこ/自由の存在を危うくするものは自由/人間優先の時代/おわりにあたり